非薬物療法の一つである回想法

認知症は、判断力や記憶力の低下が現れるのが特徴です。アルツハイマー型認知症については、発症前の状態に戻す方法はまだ見つかっていません。認知症は予防をしたり、日常を快適に過ごせるようにサポートしたりすることが重要です。回想法は認知症のケア方法として注目を集めています。認知症のケア方法には大きく分けて薬を使用する薬物療法と、薬を使用しない非薬物療法の2つがあるのが特徴です。その中でも、回想法は非薬物療法にあたります。回想法は過去の写真やビデオなどの映像、または思い出の品を見ながら、昔の話をする療法です。個人で行うこともできますし、グループで行うこともできます。

回想法は、昔の記憶を思い出し人生を振り返ることが大切です。認知症は最近の新しい記憶よりも、古い記憶のほうが鮮明に思い出すことができるという傾向があります。この特徴を活用した療法が回想法です。昔を思い出すことで脳に適度な刺激を与え、判断力や記憶力などの機能の回復が期待できます。昔話を他の人に話すことで、その時の気持ちなどを聞き手と共有し、話を聞いてもらえる満足感や肯定感を得られる点もメリットです。思い出話をすると懐かしさなどを感じることができ、精神的にも穏やかに落ち着く効果が期待できます。

回想法を実施する場合には、患者がある程度の聴力や話す能力が必要です。コミュニケーション能力が著しく低下しているケースでは、効果を得られないこともあります。まずは、こちらの【大切な記憶が力になる「回想法」を知る】を参考に効果が期待できるか事前に調べてから始めるようにしましょう。