回想法を実践するときのポイント

回想法を実践するときには、本人とコミュニケーションをしっかりとってからおこなうようにしましょう。信頼関係を築く前に、いきなり過去のことを聞きだそうとしても成功はしません。まずは、何気ない会話をしながら必要なことを聞き取るようにしましょう。大切なことは、氏名や生年月日や家族構成、どんなライフスタイルを送っているかなどの基本的な情報だけではなく、過去の病歴や現在の心身の状況についても聞いておくことです。質問をすることにより、現在どのような状態なのかがわかりやすくなりますし、より効果的な方法もわかりやすくなります。長時間会話をすることは、信頼関係を得るためにも必要なことです。

回想法は、過去を思い出せばいいというわけではありません。話題によっては、逆効果になってしまう可能性があるので注意が必要です。楽しかった過去や、嬉しかった過去を語るときには抵抗がないかもしれませんが、辛かった過去は語りたくないという人もいます。嫌な過去を思い出すことで、情緒不安定になることもあり、回想法の効果を十分に得ることはできません。会話をしながら、取り上げた方がいい話題と、取り上げない方がいい話題を選ぶようにしましょう。

回想法は、過去の体験を自ら思い出して話すことで効果を得られる治療法です。そのためには、コミュニケーションをとり話しやすい環境を作ることと、本人が進んで話したくなるような話題を意識するようにします。そうすることでより効果が期待できるようになるのです。