周りの協力も必要な回想法

介護士が一人で回想法を用いて認知症患者のケアに取り組むのではなく、回想法でケアを行う場合は患者の家族や親しい人とともに取り組むことが大切です。回想法とは認知症患者を彼らの過去に馴染みのあった音楽や絵画、写真などに触れさせ記憶を蘇らし、脳を活性化させるという認知症患者のケア方法のことです。患者の過去に詳しくない介護士がそのような回想法に一人で取り組むということは非効率といえます。

実際に、患者によって馴染みのあったものは様々です。演歌に興味のあった人もいれば、着物に興味のあった人もいます。また、都会で育った人もいれば、山の中で育った人もいます。加えて、音楽一つ取り上げても、音楽を演奏することが好きであった人と、音楽を鑑賞することが好きであった人とでは音楽に対する考え方や触れ方も大きく異なるでしょう。このように患者によって異なる背景を持つ中で、患者の過去に詳しくない介護士が回想法をケア方法に取り入れたとしてもあまり効果をなさない可能性があるのです。

このように、認知症患者の介護士がケア方法の一つとして一人で回想法を実践するということは非効率といえます。食事や入浴、お手洗いなど患者の身の回りのことのほとんどのことを介護する介護士の仕事には効率も必須です。そのため、それぞれ異なる背景を持つ認知症患者の介護士が患者のケア方として回想法を取り入れる際には、一人で実践するのではなく患者の家族や親しい人とともに取り組んで行くべきといえるでしょう。